(参考)
不動産の全部事項証明書の見本です。
土地・建物(一戸建て)・区分建物(マンション)になります。
<共通解説>
不動産の登記は、土地と建物で別々にされています。
そのため、一戸建てであっても、土地とその上にある建物の全部事項証明書を取得し確認する必要があります。
その全部事項証明書は「表題部」と「権利部」からなっています。
「表題部」には、土地の地番・地目・地籍、家屋の家屋番号、種類、構造、床面積などが記載されています。土地がいつ分筆・合筆したのか、建物がいつ新築・改築されたのかなどもわかります。
表題部の登記=表示の登記は土地家屋調査士が行います。
「権利部」には、さらに「甲区」と「乙区」があります。
「甲区」には所有権に関する事項、「乙区」には所有権以外に関する事項(抵当権など)が記載されます。
したがって、不動産の所有者は誰か?ということは「甲区」に記載されます。また、所有権が差し押さえられたりしても甲区にその旨が記載されます。
一方、住宅ローンなどの借り入れがあり、抵当権が設定されていると「乙区」に記載されます。
権利部の登記=権利の登記は司法書士が行います。
※具体例
一戸建てを新築した場合
まず、土地家屋調査士により表題部に建物の種類・構造・床面積などの登記が申請されます。
その登記の完了後、司法書士により、権利部に所有権者の名義や担保について、登記が申請されます。
①土地の全部事項証明書
<ワンポイント解説>
表題部より、地番:特別区南都町一丁目101番の土地、地目:宅地、地積:300㎡の土地であることがわかります。
※売買や贈与などによる所有権移転登記の際、地目が「田」「畑」などの農地の場合は、農地法上の許可や届出が必要になるので、重要なチェック項目です。
権利部の甲区より、現在の所有者が法務五郎であることがわかります。
また、乙区より、法務五郎が債務者である(株)南北銀行の4,000万円の抵当権が設定されていることがわかります。
共同担保目録
略して共担(きょうたん)などとも言います。
抵当権によって担保されている物件のリストです。
この南北銀行の4,000万円の抵当権では、この土地のほかに、家屋番号101の建物も同じ抵当権の担保になっていることがわかります。
②建物(一戸建て)の全部事項証明書
<ワンポイント解説>
表題部より、所在:特別区南都町一丁目101番地・家屋番号101番の建物、種類:居宅、構造:木造かわらぶき2階建、床面積:計150㎡であることがわかります。
また、附属建物として物置があることがわかります。
権利部の甲区より、現在の所有者が法務五郎であり、乙区より、法務五郎が債務者である(株)南北銀行の4,000万円の抵当権が設定されていることがわかります。
共同担保目録
共同担保も目録には、地番101の土地と同内容の記載があります。
③区分建物(マンション)の全部事項証明書
<ワンポイント解説>
区分建物(マンション)の全部事項証明書は少し特殊です。
主に表題部の記載が土地や一戸建ての建物と違います。
簡単に言うと、区分建物の表題部には、「マンション全体の表題部」と「専有部分(各部屋)の表題部」があり、その中に「土地(底地)の表題部の情報」も記載されています。
マンション全体の表題分=表題部①
専有部分(各部屋)の表題分=表題部②
また、それぞれの中に、「敷地権」として土地(底地)の記載があります。
表題分①より、建物の名称:ひばりが丘一号館であることがわかります。多くの場合、ここはマンション名が記載されます。
「敷地権の目的である土地の表示」として、底地の記載があります。このマンションがどの土地に建っているかがわかります。
表題部②にも、建物の名称:R10があります。部屋番号と一致していることが多いですが、古い建物だと登記上の管理番号としえ部屋番号とは別の番号が付されていることもあります。
「敷地権の表示」として、表題部①に記載のあった土地に対する権利や持分が記載されています。
この例では、所有権・4分の1を持っていることになります。
マンションでは、専有部分(各部屋)はその所有者がそれぞれ取得していますが、土地(底地は専有部分の所有者の共有となっています。
そして、原則として専有部分と土地はセットで移転などをしなければならないとされています。
冒頭の共通解説のとおり、本来土地と建物は別々のものです。したがって、一戸建てであったとしても土地と建物の登記が別々にあります。
しかし、マンションの場合は、上記のとおり土地と建物をセットで取り扱う決まりになっています。そのため、登記も全部事項証明書も土地と建物がセットになって記載されているのです。
権利部の記載は、基本的に土地や建物と同じです。