こちらでは、登記名義人の氏名や住所が変更し、その旨の不動産登記手続きをする場合の一般的な内容についてご案内しております。
不動産登記では、所有者の住所と氏名が登記されています。
具体的には権利部の甲区に記載されています。
→見本
引っ越しや結婚のため、登記上の住所や氏名を変更したい場合にするのが所有権登記名義人住所変更登記もしくは所有権登記名義人氏名変更登記です。
なお、売買や贈与によって所有名義を変更する場合は、所有権移転登記になります。
必要となる書類や登録免許税が大きく異なりますのでお気を付けください。
また、この所有権登記名義人住所(氏名)変更登記は、これ単体でも行いますが、売買や贈与の際、抵当権抹消登記に際に現状に合わせる意味で一緒に登記をすることも多いです。
その場合、売買・贈与や抵当権抹消登記などの必要書類や登録免許税のほかに、下記で紹介する所有権登記名義人住所(氏名)変更登記の書類等が必要になります。
ここでは、引っ越しや結婚による登記上の住所・氏名の変更登記である所有権登記名義人住所(氏名)変更登記について一般的なチェック項目・必要書類をご案内しております。
※事例により変更登記ではなく更正登記の場合もあります。また、そのほかに必要となる書類等がございますので、管轄の登記所もしくは弊所までお気軽にお問い合わせください。
不動産登記手続きは基本的に売主や買主といった登記権利者と登記義務者が一緒に登記を申請します(共同申請)。
一方、所有権登記名義人住所(氏名)変更登記は、例外的に住所や氏名が変わった人のみで登記申請を行います。これを単独申請と呼んでいます。
登記申請の準備をする前に、下記事項をご確認ください。
①不動産の地番・家屋番号はわかりますか?
②登記の申請は誰がしますか?
①について
登記を申請する際に、登記申請書にて対象となる不動産を特定する必要があります。
日常生活で家屋を特定する場合に使用しているものがは、住居表示と呼ばれるものです。
(具体例)
千葉県習志野市東習志野9丁目13番10号
一方、不動産登記の際には地番(土地)・家屋番号(家屋)にて特定します。
(具体例)
土地:千葉県習志野市東習志野9丁目1500番3
家屋:千葉県習志野市東習志野9丁目1500番地3
家屋番号 1500番3
地番・家屋番号が不明な場合は、全部事項証明書を取得し調査をしてください。
②について
代理人に委任状を交付することにより、代理人から申請することもできます。
一般的に多く行われているのは、司法書士が代理人となる登記申請です。
この場合、司法書士委任を受けた司法書士が登記を申請することになります。
下記でご案内する書類はあくまで一般的な書類です。
必要に応じて追加の書類もありますので、詳しくは管轄登記所または弊所までお問い合わせください。
基本的な考え方として、登記上に記載されている住所(氏名)から、現在の住所(氏名)までのつながりがわかる書類をすべて準備する必要があります。
例えば次のように引っ越しを繰り返しているとします。
平成22年 東京都江戸川区(登記に記載されている住所)①
↓
平成27年 千葉県市川市に引っ越し②
↓
平成29年 千葉県習志野市に引っ越し(現住所)③
この場合②③の住民票が必要です。
③:現住所とその前の市川市の住所の記載がある
②:市川市の住所とその前の江戸川区の住所の記載がある
これにより書類によって登記上の江戸川区の住所から、現住所である千葉県習志野市の住所までつながりました。
住民票の請求は、各自治体に行います。
また、下記で紹介する戸籍の附票でも構いません。その場合は、戸籍の附票は戸籍に付随している書類なので、本籍がある自治体に請求します。
上記例で、本籍も習志野市にあるとすれば、習志野市で戸籍の附票を取得するだけで書類はそろいます。
一方、住民票は除票になってから5年で請求できなくなってしまいます。
つまり①の江戸川区の住民票はそもそも取得できない可能性が高いです。
では習志野市への引っ越しが5年以上前だった場合はどうすればよいでしょうか。
昭和50年 東京都江戸川区(登記に記載されている住所)①
↓
平成5年 千葉県市川市に引っ越し②
↓
平成10年 千葉県習志野市に引っ越し(現住所)③
③は現住所の住民票なので取得できます。また、前の住所として市川市の記載もあります。
②は除票になってから5年以上経過しているので取得はできないと思います。
すると住民票では、登記上の住所である江戸川区から現住所の習志野市へのつながりが証明できないことになります。
その場合は、戸籍の附票を取得してください。
戸籍の附票は、戸籍に付随している書類なのですが、住所の移転が一覧になっているものです。戸籍の附票では①②③が記載されている可能性が高いです。
戸籍の附票は、本籍のある自治体に請求します。
ただ、戸籍の作り変え(改製といいます)などで取得できない場合もあります。
この場合は、書類でつながりを証明できないので登記所と相談する必要があります。
住民票などの代わりとして登記済証(権利証)などの書類を付けてほしい旨の指示されるかと思います。
氏名の変更についても基本的に考え方は同じです。
氏名の変更は戸籍の記載によって証明します。
したがって、氏名の変更がわかる戸籍謄抄本を取得してください。
また、本籍付きの住民票も必要となりますのでお気をつけください。
登記申請の際は、登録免許税を納付する必要があります。
登録免許税は、登記申請書や添付書類とは別に台紙を用意し、そこに収入印紙を貼って納付します。
所有権登記名義人住所(氏名)変更登記の登録免許税は不動産1個当たり1,000円です。
※住所や氏名の変更日と登記上の日付との関係により変更登記ではなく更正登記の場合があります。
住所と氏名変更を同時に申請する際で、一方が更正登記の場合は不動産1個当たり2,000円になります。
ご自身で登記申請をする場合は、上記の確認事項や必要書類、登録免許税分の収入印紙を準備の上、登記申請書を作成し、登記所に申請することになります。
申請する登記所は対象となる不動産を管轄する登記所になります。
なお、複数の場所に不動産がある場合はそれぞれの管轄登記所に申請します。
例えば、東京都江戸川区と千葉県市川市の不動産の氏名や住所を変更するような場合は、東京都江戸川区の物件は東京法務局江戸川出張所、千葉県市川市の物件は千葉地方法務局市川支局に申請することになります。
登記申請書のひな型は、法務局のページが便利です。